ロジスティック方程式の導出
1.1.1,2,3では個体群が指数関数的増殖するモデルをみてきた。これが現実であれば地球上はすぐに生物で覆い尽くされてしまう。これはこのモデルが資源が無限にあることを前提としているため地球環境とは異なるためである。そのため資源や環境条件を個体数に応じて制限する。つまり密度効果を導入する。
単純に考えて資源は個体数が多くなるほど足りなくなる。そのため環境収容力$K$を導入する。個体数が増加するほど増殖率が低下するように次の式を作る。ここで$r$は増殖率であり$n$は個体数である。
$$r=r'(1-\frac{n}{K})$$
これを1.1.2の以下の式に代入する。
$$\frac{dn}{dt} = r n $$
$$\frac{dn}{dt} = r'(1-\frac{n}{K}) n …(1)$$
式(1)をロジスティック方程式と呼び、それに従う生物の増殖をロジスティック増殖という。では式(1)の関係性をグラフで見てみよう。なお以下では簡略化のため$r’$を$r$とおきます。下の図は環境収容力を100とし複数の$r$で作成しています。スクリプト

個体数が少ないときには$1-\frac{n}{K}$は大きいですが$n$は小さい。反対に個体数が増えると$1-\frac{n}{K}$は小さいですが$n$は大きい。そのため環境収容力の半分で最大値をとる曲線となることがわかります。つまり個体数が環境収容力の半分のとき最も速く個体増殖が進むことがわかります。
反対に$n>K$のとき、つまり個体が環境に対して多すぎるときには増殖率は負の値になり個体数が減少することがわかります。個体数と時間の推移を見ると次のようなグラフになります。環境収容力は100でそれぞれ複数の$r$と$n(0)$の組み合わせで作成しています。凡例を見てください。スクリプト

どのグラフも最終的に環境収容力の100で一定になっていることがわかります。青線のグラフが典型例ですがS字型の曲線を描きます。この曲線はシグモイド曲線、S字型曲線とよばれます。S字型となるのは図1において中央を頂点とする左右対称な曲線のグラフとなるからです。
密度効果を導入したことでロジスティック方程式は個体群の増殖が個体群の影響をフィードバック的に受けているモデルであるといえる。
それではロジスティック方程式を解こう。解くことで時間$t$における個体数を表すことができる。
ロジスティック方程式は次のような個体群の密度を考慮したモデルである。
$$\frac{dn}{dt} = r(1-\frac{n}{K}) n …(1)$$
(1)は1階常微分方程式である。ロジスティック方程式には複数の解法がある。
変数分離
より基本的な方法である。
\begin{eqnarray*}
\frac{dn}{dt} &=& r(1-\frac{n}{K}) n\\
\frac{dn}{dt} &=&r\frac{1}{K}(Kn-n^2)\\
\frac{K}{Kn-n^2}\frac{dn}{dt}&=&r\\
\int \frac{K}{n(K-n)}dn &=&\int r dt
\end{eqnarray*}
$$\frac{K}{n(K-n)} = \frac{1}{n} + \frac{1}{K-n}より部分分数分解を行う。$$
\begin{eqnarray*}
\int (\frac{1}{n} + \frac{1}{K-n} )dx &=& rt + C\\
\log n – \log (K-n) &=& rt + C\\
\log \frac{n}{K-n}&=& rt +C\\
\frac{n}{K-n}&=& e^{rt+C}\\
n&=& Ke^{rt+C}-ne^{rt+C}\\
n(1+e^{rt+C})&=&Ke^{rt+C}\\
n &=& Ke^{rt+C}/1+e^{rt+C}\\
n&=&K/(e^-({rt+C})+1) ここでe^{-C} = C’とおくと\\
n&=&K/(1+C’e^{-rt})…(2)
\end{eqnarray*}
これで解けたが初期条件を追加することで任意定数$C’$をなくそう。$t=0$のとき$n=n_0$とする。
(2)に$t=0,n=n_0$を代入する。
\begin{eqnarray*}
n_0&=&\frac{K}{1+C’e^0}\\
n_0&=&\frac{K}{1+C’}\\
C’&=&\frac{K}{n_0}-1…(3)
\end{eqnarray*}
(3)を(2)に代入する。
$$n=\frac{K}{1+(\frac{K}{n_0}-1)e^{-rt}}$$
これで無事、ロジスティック方程式が初期条件を含めて解くことができました。時間$t$のときの個体数もこれで丸わかり。
ゴンペルツ的な解き方
$y = 1/n$とする。
(1)に$y = 1/n$を代入する。
$$n = \frac{1}{y}より\\
\frac{dn}{dy} = -\frac{1}{y^2}= -n^2$$
\begin{eqnarray*}
\frac{dn}{dy}\frac{dy}{dt}&=& rn(1-\frac{n}{K})\\
\frac{dy}{dt} &=& -(rn – \frac{rn^2}{K} )\frac{1}{n^2}\\
\frac{dy}{dt} &=& r(\frac{1}{K}-y)…(4)\\
\end{eqnarray*}
$$ r(\frac{1}{K}-y)=uとおく。$$
\begin{eqnarray*}
y&=&\frac{1}{K}-\frac{u}{r}\\
\frac{dy}{dt}&=&-\frac{1}{r}\frac{du}{dt}
\end{eqnarray*}
(4)を代入する。
\begin{eqnarray*}
u&=&-\frac{1}{r}\frac{du}{dt}\\
\int \frac{du}{dt} \frac{1}{u}dt &=& \int -r dt\\
\int \frac{1}{u} du &=& -rt + C\\
\log u &=& -rt + C\\
e^{-rt+C} &=&u : 上記と同様にe^C=C’とする\\
C’e^{-rt} &=&\frac{r}{K}-ry\\
y = \frac{1}{n} &=& \frac{1}{K}-\frac{C’e{-rt}}{r}\\
n &=& K/(1-\frac{K}{r}C’e^{-rt}) -\frac{K}{r}C’ = Cとする。\\
n&=& K/(1+Ce^{-rt})
\end{eqnarray*}
任意定数に関しては上記の方法と同じようにして求めればいい。
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