1.1.4ではロジスティック方程式の導出から解法までをおこなった。ここで気をつけたいのが時間に関して微分方程式を使うことで連続時間を想定している点である。1.1.3でもあるように連続時間と離散時間では異なる振る舞いになることがありロジスティック増殖はその典型例である。
ロジスティック写像(離散時間)
離散時間のロジスティック方程式を作成しよう。離散時間でのロジスティック方程式をロジスティック写像とも呼ぶことがある。
連続時間のロジスティック方程式は1.1.4で次のようにかけた。
$$\frac{dn}{dt}=r(1-\frac{n}{K})n…(1)$$
$r$は増殖率であるが本サイトでは離散時間では$R$を用いる。また個体数も離散時間にあわせて書き換えると次のようになる。
$$\frac{dN}{dt} = R(1-\frac{N_t}{K})N_t…(2)$$
$\frac{dN}{dt}$は時間ごとの個体数の変化である。そのため(2)と合わせて次のように書ける。
$$\frac{dN}{dt}=N_{t+1} -N_t = R(1-\frac{N_t}{K})N_t…(3)$$
よって
$$N_{t+1} =N_t + R(1-\frac{N_t}{K})N_t…(4)$$
(4)の挙動は通常の連続ロジスティック増殖とは大きく異なる様相を見せる。$N_t$がどのように変化するのかは蜘蛛の巣図法(cobwebbing法)と呼ばれる手法であらわされることが多い。次の図は典型的な蜘蛛の巣図法を表している。スクリプト1 スクリプト2


図1,2において横軸は$N_t$、縦軸は$N_{t+1}$の個体数である。横軸で任意の$N_t$を選ぶとその次の世代の個体数、つまり$N_{t+1}$がy座標として示される。
緑の直線は$N_{t+1}=N_t$を示す。赤の曲線は任意の$N_t$に対して(4)より求められる$N_{t+1}$の値を示す。
蜘蛛の巣図法のたどり方はまずはじめに$N_t$をどこか選ぶ。そしてその点から上にいって赤線と交わった点が対応した$N_{t+1}$になる。次の世代の個体数を見たいのでその交わった点から横にいき緑線と交わる。その点のx座標を今度は$N_t$とみなす。そして再度赤線と交わるまで縦を移動する。これを繰り返すことで個体数の変化をたどることができる。赤線と緑線の間をジグザグ進んでいくようなイメージだ。
図2の青い矢印のようにたどっていくことで個体数を見ることができる。
図1,2は$R=2.5,N_0=1,K=100$で10世代までの個体数を表す。1.1.4に示したロジスティック方程式と同じように途中までは環境収容力に向かっているが収束していないことがわかる。(なおここで$K$は緑線と赤線の交点として表される。)
これは離散時間では密度効果が影響するまでに時間差が生まれるためである。
そしてこのグラフの様子は$R$の値によって大きく変化する。1.1.6から様々な$R$の値の場合について考える。
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